桜峠という名の峠は、全国に数多くある。それだけ日本人には、桜に対する特別の思いがあるのだろう。その思いは、今も昔も変わらずに受け継がれているようだ。今回の桜峠は、木津川に沿う国道163号から木津川市山城町へと越える。
実際にバイクで訪ねてみると、桜ならぬ楓の朱色が出迎えてくれた。紅葉のトンネルを登り進み、桜台環境センターを越えると、路面がコンクリート舗装から雨水が浸食されたクレパスのあるダートに変わる。不覚にもリアタイヤを、一度落し込んだが国見峠の時に苦労した経験を生かし脱出した。
桜峠のピークは、光の薄い切り通した竹林の中にあった。人の気配は、全く感じることができない。峠を下ると天神社という神社があり、いつもは興味を示さないのだが、この日は何故か覗 いて見たくなった。鳥居をくぐり、石段を登る。そこには、無機質ではあるが、眼光を感じさせる二体の狛犬が並んでいた。
幻の都
桜峠のすぐ東側には、平城京から遷都され、一時期の間(740年~744年)だけ都が置かた、幻の都「恭仁京」跡がある。しかし、ここの地勢は都に適しているとは思えない。なぜなら、山を背にして前面に木津川では、背後から攻め込まれると退路が無いからだ。なぜ、ここを都の地に選んだのだろうか、と思いを巡らせる楽しみはあるが。
桜峠・調査 NO.88
- 日付:2013/11/23(土)
- よみ:さくらとうげ
- 路線:不明
- 所在:京都府木津川市山城町上狛 Λ 神童子
- 地図:地形図 / 峠マップ / 位置図
- 座標:34.764426,135.83921
- 標高:160m
- 路面:コンクリート舗装+ガレたダート
- バイク:セロー250
- おススメ度:★★★
桜峠の周辺地図
- T点:桜峠のピーク
- A点:国道163号からの経路
- B点:天神社側からの経路
- C点:国道163号大谷処理場側からの経路
- X点:分岐点
桜峠 Pickup Photo
A点:国道163号からの桜峠への経路。すぐ手前(国道24号側)にもゲートがあるが、こちらは施錠されている。
A点からの経路では、若干登った位置に紅葉を見ることができる。人の気配など全くないので、のんびりと秋を堪能する。
桜台環境センターの建物を過ぎると、路面も本格的なダートに変わってくる。かなり急傾斜で雨水に浸食された跡が深く掘れている。現在、この周囲ではオフロードの峠道は、この桜峠と観音寺峠しか確認できておらず貴重な存在と言える。
峠のピーク近くになると、再びコンクリート舗装になった。落葉の状態から、農作業用の軽トラックが通ることが分かる。ここまでに通過してきた険しいダートは、四輪車で走行するはずがない。おそらく、途中にあった分岐点[X点]から、他に抜けられる経路があるのだろう。
T点:桜峠のピークは、竹林に囲まれた切り通しのだった。以前にも記事にしたが、周囲が竹林の峠は珍しい。(過去記事:仏坂峠/峠に竹林が少ない理由)「たわみ」がしっかりあるので、峠らしい路面の消えた写真背景になった。
T点:所々に踏み固められた細道があり、何でだろうとかと思っていたら、猟場にもなっているようです。供水峠で出会った猟友会の方は、台風被害以来、めっきり猪の姿が見えないと言われていたが、ここはどうなのでしょうか?
桜峠を越えて[B点]まで抜けると天神社がある。寂れているようにも見えるが、どこか品を感じる。セロー250を停めて、石段を上り境内を歩いてみた。
B点:天神社は、神童寺縁起にあらわれた神々を祀っており、十三重石塔(1277)は、国の重要文化財になっています。
全く人の気配のない、シンとした空気の中で狛犬の目を見ていると、今にも動き出して噛みつかれそうで、ちょっと怖い。
B点:天神社から桜峠まで戻り、途中の分岐点[X点]を右折して探索して何処へ抜けるのか確認しておきます。
[X点]を右折すると茶畑が現れ、次にぬかるんだダートになり、[C点]の大谷処理場に着く。もう少し進むと国道163号に出た。
桜峠の四方山話
- 古事記は、山城を「山代の国」、日本書紀は「山背の国」と記されている。平安時代になって「山城」となる。
- 桜峠を通過していないが、城陽市から木津町に至る「山背古道」が西方に通っている
桜峠の位置図
※ その他の地図へ
【桜峠へのツーリングルート】
≫ 青山高原と伊賀街道の紅葉を独り占め/ツーリングルート関西版
近くのおススメ峠たち
- 国道163号を東に向い、左折して京都府道62号に入る。すると直ぐに登り勾配が始まり、ピークに達すると木津川と関西本線が一望できる木屋峠(★★★)になります。
- 木屋峠から京都府道62号直進すると、茶畑が広がり次に宇治ナンバーワンの急勾配ヘアピンカーブのある犬打峠(★★★★)に達します。
- 木津川を挟む対岸の位置には、ダートの観音寺峠(★★)がある。
もっと他の峠は無いの!?という方
- 「都道府県別、峠の一覧」:評価順・標高順などに並べ替えて選ぶといいかも。
- 「峠マップ」:地図上から選べます。ちょっと重いからPCで見た方がいいかも。
この峠に行ってきたよ!とか、こんな峠があるよ!とか、記事の感想とか、お気軽にコメント頂けたら嬉しいです。
編集後記
バイクに乗るには、指先が冷たくて辛いシーズンがやって来ました。去年は何時頃までバイクに乗っていたのだろうかと、ブログを遡って日付を見てみると11月24日。信楽から鈴鹿山脈越えで石榑峠へツーリングに行ったのが去年の最終日でした。早々の店じまいで、自分自身にガッカリ。