ギュア~ン!日本一の勾配率(急勾配)を誇る暗峠の坂道に、負けじと必死に抵抗するかエンジンが唸り声をあげて咆哮する。なんて酷い(ひどい)道だ。と思うのと同時に、さすが全国に名を馳せる酷道308号だと感心した。
普通、峠みちはジグザグと蛇行しながら上がっていくものだ。だから、「九十九折れ(つづらおれ)」、「羊腸小径(ようちょうしょうけい)」などと表現される。しかし、この暗峠は違う。大阪平野から生駒山に向かて、ほぼ一直線に上っている。
酷道と言われる由縁は、37%の日本一の勾配率だけではない。一方通行や幅員1.3mの狭路区間があるからだ。酷道好きにはたまらない、歴史的な背景も豊かな街道筋の峠である。
勾配率とは
勾配率とは37%の場合、A点から100m進んだB点は、A点から37m高い位置にあるということです。角度が37度ではありません。どちらにしても若葉マークの内には、行かない方がいい急斜面であることには違いありません。
暗峠・調査NO.46
暗峠の周辺地図
- T点:暗峠
- A点:大阪府側
- B点:奈良県側
- C点:鳴川峠への徒歩道
暗峠 Pickup Photo
T点:ピークになる暗峠の位置には、大阪府と奈良県の府県境となるので、案内標識が建っている。歴史的な背景も豊かな、古都奈良と商都大阪を繋ぐ峠は、桐原書店刊「日本百名峠」(井出 孫六 著)にも収録されている。
T点:石畳の道が暗峠の売りの一つだが、どうしても雑に敷いた印象を受ける。プロの職人が施工したとは、思えない。バイクで通過すると、教習所の波状路を思い出す。
T点:暗越奈良街道は、奈良街道・伊勢参宮街道の一つであり「日本の道100選」にも選定されている。これは、道の日に建設大臣から顕彰された日本の道100選のプレート。
T点:峠の茶屋(すえひろ)の北側には通路があり、C点の鳴川峠方向の徒歩道になっている。後日、セロー250を購入後にトライしている。
B点方向:看板を見ると、「国道308号(奈良方面)は右の坂道です」と書いてある。既に国道ではなく、坂道として扱われている。写真を撮っていると、軽自動車に乗る女性のドライバーが表情一つ変えずに下ってきた。
B点方向:奈良県側の眺望。
国道から外れて周辺の一般道の様子を見に行くと、驚異的な勾配の道があった。もう階段にしたほうがいいような気がする。
A点方向:盛り上がった減速帯に、ここでも教習所の波状路を思い出す。暗峠周辺は、紫色のガードレールなど、珍品がまだまだ有りそうだ。
A点方向:大阪側の眺望を見るためには、国道から枝道に入らなけらばならない。ポイントは幾つかありそうだ。黄砂やPM2.5やらで視界が悪かった。
暗峠の四方山話
- 奈良側から向うと大阪街道、大阪側からは奈良街道と呼ばれた。
- 江戸時代の『河内名所図絵』には、宿屋・茶店が並ぶ宿場として描かれている。
- 元禄7年(1694)9月9日に松尾芭蕉が峠を越え句を詠んでいる。
参考文献:『日本百名峠』
生駒山地に連なる峠たち
大阪府は、和歌山県との間に和泉山脈(和歌山と大阪を隔てる和泉山脈縦走)。奈良県との間に金剛山地と生駒山地(奈良と大阪を眺める生駒山地の峠たち)。そして、北は兵庫県と京都府に接する北摂山地(大阪北摂の9峠を連続走破)に囲まれています。その全体像は、峠を巡っていると掴むことができます。
編集後記
国道沿いなので地図など必要無いだろうと出かけたら、一方通行の標識にまさか国道であり得ないだろうと迷ってしまった。しかし、こんな急斜面に沿って新築住宅が販売されていたのには驚きました。斜面フェチな人でもいるのだろうか。売れるのだろうか。と要らぬ心配をしてしまいました。