その昔、峠は「故郷の里」と「異郷の里」の分岐点でした。そして、故郷への「望郷の念」、異郷への「畏怖の念」を込めて、峠のお地蔵さまへ手を合わせ旅の無事を祈りました。ここ、供水峠はそのような、古くからある峠の一つです。
バイク乗りにとって峠と言えば、フルバンクでコーナーを駆け抜けるワインディングロードのイメージがありますが、ここ供水峠にはそのような路面は1mmたりともありません。
今回は、愛機CB1300SBに少し休んでもらい、自前の二本の足で歩いて行きます。しかしながら、我が足の馬力もトルクも無い性能の低さにはがっかりします。早々に軽量化対策が必要なようです。
供水峠・調査NO.23
供水峠の周辺地図
- T点:供水峠
- A点:CB1300SB停車位置
供水峠 Pickup Photo
ここが宇治側からの供水峠の登山道入り口です。車が2台駐車してあったので何人か山に入っているようです。
事前に用意しておいた地形図のコピーで確認して、右手側の山道へ進みます。
入り口近くが水溜りができて荒れているのは、オフロードバイクが走行した跡のようです。軽快に歩けたのは最初だけ、直ぐに汗が出てきた。まず、ネックウォーマーを脱いだ。次はクシタニのウインタージャケットのチャックを外し・・・。バイク装備で山歩きは、体感気温差が大きく難がありますね。
大きな岩が表れました。方丈記で有名な鴨長明は、この大岩を土台に庵を建てて住んでいました。見上げると何か石碑のような物が見えた。レーシングブーツが斜面に全くグリップしない。誰も居ないので、四つん這いになってよじ登る。
長明方丈石碑でした。下りはさらに怖い。
短い距離にも拘わらず、既に両足がオーバーヒート。背中は汗でグッショリと濡れてきた。このままバイクに乗れば確実に凍えてしまいそうです。出口までがんはって足を動かします。
無事帰還しました。汗が引くまでと上着を脱いで休憩していると、スタッスタッとおじさん二人が下山してきました。かなり歩き慣れていることが、雰囲気から伝わってきます。
「この辺りには、何か動物でもいるんですか?」と看板を指して声を掛けてみると、地元の山城猟友会の方でこの看板を設置した当人とのこと。「今日はイノシシがいるか見に来たが、去年の豪雨以来めっきり姿が見えなくなった。」とのこと。その他にも山のことや猟のことについて色々とお話しを聞くことができました。
供水峠の位置図
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編集後記
今回、初めて峠を歩いてみて、やはりバイク乗りは隣人との距離が遠く、登山者はかなり近いと感じます。リターンライダーの方は、特に感じるところがあるのではないでしょうか。昔はピースサインを出すのに忙しかったと。