誰も居ない、雪に包まれた無音の世界で、独りバイクを押したり・引いたり・持ち上げたりする。直ぐに全身が汗でびっしょりになる。エンジンに付着した雪は、水蒸気になり異様な匂いを放ち始める。
峠はバイクで走るより、越える方が何倍も楽しいのだ。都会が桜の花見で賑わう頃になると、毎年のように福井県へ跨ぐ峠を探して遊びに行くことにしている。
今年、選んだのは黒河峠だ。林道黒河マキノ線を走り、滋賀県側から福井県側へと越えるルート。人気のツーリングスポット、メタセコイヤ並木のすぐ近くだ。
黒河峠・Pass Hunting NO.132
- 調査:
- 峠名:黒河峠(くろことうげ)
- 路線:林道黒河マキノ線
- 所在:滋賀県高島市マキノ町白谷∧福井県敦賀市山
- 座標:35.531646,136.039324
- 標高:567m、路面:オフロード
- レビュアー:峠ノ太郎(セロー250)
- おすすめ度: 5
黒河峠を挟み滋賀県側がマキノ林道、福井県側が黒河林道と峠が双方の起点となっていたが、現在の標識では林道黒河マキノ線と合わせて表示されている。総延長13.7km。登山者にも人気のため走行に注意。
黒河峠の地図
- PIN:黒河峠
- 1点:滋賀県道533号の黒河越えの道標
- 2点:3月28日到達点
- 3点:4月12日到達点
黒河峠 Pickup Photo
湖西道路を北上し国道161号の「沢」を左折、再び左折して滋賀県道287号(小荒路牧野沢線)を北上すると、すぐにメタセコイヤ並木に到着する。
1点:マキノ高原を通り過ぎ滋賀県道533号(白谷野口線)との接続点を左折する。ここからは、峠に向かっていると実感できる道になる。左手に「三国山4.5km、黒河峠越え」の道標があるので左折する。
このまま滋賀県道533号を直進すると、平安時代の歌人「在原業平」が晩年を過ごしたことで知られる茅葺民家が残る「在原の集落」がある。
1点~2点:真新しい「林道 黒河マキノ線」の木標があった。(セローは進行方向を逆向き)この辺りは、まだ舗装路になっている。拍子抜けするほど、残雪は見当たらない。ところが・・・。
2点:一つ目の雪溜まりが現れた。慎重な性格でもあり自分の低いライテクを自覚しているので、念のために先の状況を歩いて確認する。
3月28日13:40分(写真の時間記録より)撤退決定!
この先には、白銀の世界が広がっていた。
2週間後・・・。
2点~3点:前回の雪の状態から推測して、2週間後がベストな雪の溶け具合だろうと予測。再び黒河峠を目指す。前回の撤退地点の雪は、全て溶けて無くなっていた。ダート道になる所も無事に通過することができた。
2点~3点:途中、雪溜まりは2ヶ所あったが問題なく通過する。今日は天候が良く、暑いくらいだ。もしかしたら、1週間来るのが遅かったのではないかと心配し始めた途端・・・。
3点:「ちょっと手ごわそうだな」と思ったが、峠も近いので勢いよく突入する。
3点:ドスン!と、リアタイヤが落ちた。空転ではなく、確かに落ちたような感覚があった。不吉な予感に包まれる。
3点:自立するセローを降り、冷静に周囲の状況を確認する。すると路面と雪との間が空洞になっていた。フロントも落すと脱出するのに骨が折れそうだ。しばらくの間、雪掻きしたり足で割ってルートを作ったりしてみた。
4月12日13:24分、撤退決定!
もう、十分過ぎるほど楽しんだ。(もう、ヘトヘト)
下界は菜の花が咲いているのにね!残念でした。
黒河峠の四方山話
- 近江の古代北陸道(現在の国道161号)と日本海を結ぶ最短ルートに位置する。
- 登山者には、三国山への駐車場所として有名。
参考文献:『近江の峠道』