「手ごわい」。こいつは、峠ハンターとしての力量を問う、難しい峠だと直感した。バイクを降り、新小屋峠の周囲を徘徊してみる。時折り通り過ぎる車やバイクから、「こんな所で何をしているんだろうか?」というような視線を感じながら。
ハハ・ハ!君達には見えないものが、私には見えているのだよ。分からないだろうな。君らには、・・・。道端の雑草や蟻ん子を眺めているのではない。もちろん、暑さで頭がいかれているのでもない。何をしているのか?もちろん、「峠を味わっているのだよ!」
新小屋峠・調査NO.110
新小屋峠の周辺地図
- T点:新小屋峠
- A点:蒜山大山スカイライン
- B点:大山環状道路
- C点:烏ヶ山
- D点:象山(笹ヶ峰)
峠ハンターの力量は、「妄想の翼」をどれだけ大きく広げられるかで決まる。例えば、峠というスクリーンに、駆け抜けてゆく武将の後ろ姿や重い荷車を曳く牛馬の姿を、CG合成して映し出せる具現化能力の強さだ。(実は、何も無い峠に困っているだけですが・・・。)
新小屋峠 Pickup Photo
江府町方向:新小屋峠に立つと、ここが標高が900mを越える高所だとは感じられない。その理由は、道路勾配率にありそうだ。そこで上記の周辺地図のB点から新小屋峠のT点までの道路勾配率を計算してみた。
道路勾配率[%]=100×垂直距離[m]/水平距離[m]に、電子地形図から取得した数値を当てはめると、100×97m/1,600m=6.06%となる。
この約6%は、山間部の道が10%で急勾配の注意標識が立つことを考えると、ちょっときつい坂道程度。標高が高いが道路勾配率は低い。これが高原の峠の特徴なのだろう。
倉吉市方向:電子地形図を見ると左手には、D点に象山(笹ヶ峰)標高1,085mがあり、峠道はその山腹をトラバース(水平方向に横断)していることが分かる。
T点:峠ハンターは、峠で隔てられた行政区の境界線上の地表面を必ず確認する。この写真の左右のアスファルトの表面にも若干の違いがある。
もう少し分かりやすい例の峠を紹介すると、京都府と福井県の府県境にある「おにゅう峠」は、アスファルト敷きとダートに国境で明確に分かれている。
草に埋もれそうな看板も、貴重な資料なので見逃してはいけない。これが山陰のマッターホルンと呼ばれているC点の烏ヶ山(からすがせん)、標高1,448mへの登山道が新小屋峠を横断している証拠になる。
C点の烏ヶ山への登山禁止看板の横手には、階段状の登山道入り口がある。この様子から新小屋峠は、烏ヶ山の尾根へと越える峠とも言える。
T点:この標識は、場所の表示が嬉しいポイント。平成の大合併によって市町村の合併・編入が盛んに行われたために、このように所在地名が明確になると助かる。
こちらはD点の象山へ至る、消えかけの踏み跡が見られる。これらのことから新小屋峠は、一本道ではなく四辻だと分かる。以上、新小屋峠の峠ハントでした。
新小屋峠の四方山話
峠名に「新」の文字が付いていることから旧峠が存在するのかもしれませんが、所在は不明です。もしかしたら、古くからある峠ではない可能性も考えられます。
新小屋峠の位置図
- 【新小屋峠へのツーリングルート】
≫ 大山グルッと一周ツーリング・中国地方 - 【都道府県別・峠の一覧表】
≫ 鳥取県の峠、一覧表
編集後記
週刊少年ジャンプ愛読世代の私は、冨樫義博のHUNTER×HUNTER、荒木飛呂彦のジョジョ、岸本斉史のNARUTO、諫山創の進撃の巨人・・・。そんな漫画が大好きな峠ハンターです。