戸倉峠/旧道・廃道マニアには廃墟感がたまらない

戸倉峠
戸倉峠にはトンネルが3つある。雪に埋もれ険しい峠を克服するために、三世代に渡って掘削された。国道29号の旧道に残る廃墟となった旧戸倉隧道は、鉄扉で固く閉ざされ今は通ることができない。

閉鎖され20年近い歳月は、アスファトの路面を苔色に変えていた。それは、人間が開いた傷口を、自然の精気がゆっくりと優しく塞ごうとしているかのようだ。

隧道の中の様子を見たくなり、鉄扉によじ登る。光の届いている距離は短い。鉄格子を握る手に冷気が伝わってくる。そして暗闇のその先に目を凝らすと、誰も居ないはずの空間から「もののけ」の気配を感じた。

戸倉峠・Pass Hunting NO.122

  • 調査
  • 峠名戸倉峠(とくらとうげ)
  • 路線:旧国道29号(因幡街道「兵庫県側」若桜街道・播州街道「鳥取県側」)
  • 所在:鳥取県八頭郡若桜町大字落折∧兵庫県宍粟市波賀町戸倉
  • 座標:35.295481,134.510044
  • 標高:891m、路面:オンロード&オフロード
  • レビュアー峠ノ太郎(セロー250)
  • おすすめ度 5

戸倉峠は、旧道・廃道好きにはたまらない所。旧トンネルの廃墟感に途切れた追い越し禁止のセンターライン。歳月を感じとれる遺物が満載です。

戸倉峠の地図

  • ▲点:戸倉峠
  • 1点:鳥取県側の旧道進入口
  • 2点:兵庫県側の旧道進入口
  • ■点:旧戸倉隧道(兵庫県側)
  • ■点:旧戸倉隧道(鳥取県側)

戸倉峠へは、■点から旧旧道を走る。軍用トンネルは、■点の旧戸倉隧道の左手の斜面を登る。

戸倉峠 Pickup Photo

新戸倉トンネル
1点:新戸倉トンネル(標高731m、延長1730m)は、平成7年(1995年)に開通した。画像の左手が旧国道29号になり、赤いのぼりが数本立っている所にお地蔵さまがいらっしゃる。

旧国道29号
1点■点:旧国道は、林道の用途に活用されているようだ。路面上には落葉がある程度で、バイク走行に問題はない。

旧戸倉隧道■点:旧戸倉隧道(延長742m)は、昭和30年(1955年)に開通し新戸倉トンネルに移行するまで40年間利用された。左手の斜面を登ると、陸軍が本土決戦に備え極秘に開削をしていた戦争遺産となったトンネルがある。

旧戸倉隧道
■点:旧戸倉隧道を背にして、旧国道29号を撮る。いい感じで苔が路面を覆っている。

旧戸倉隧道の内部■点:隧道の内部をフラッシュを焚いて写す。

旧戸倉隧道の内部
■点:この状態のまま放置すると、どのようになっていくのだろうか。

新戸倉トンネルの兵庫県側
2点:次は、兵庫県側から旧国道へ入ってみる。

旧国道29号
■点:車が2台停まっている位置で道が無くなる。左手が戸倉峠へ至る旧道になる。

戸倉峠
■点:旧旧道は、車両通行止めだった。

廃道
■点:アスファルト部分に土を盛っている所には、雑草が生い茂っている。

旧道■点:どうやって土の流失を止めているのかと思い境目を見ると、金網のようなものがあった。

戸倉峠の四方山話

羽柴秀吉は、安土桃山時代の天正八年(1580)と翌年に、鳥取城攻めに戸倉峠を越えている。

[参考文献]『播磨の峠ものがたり

戸倉峠の位置図

関連リンク

編集後記

先週末、初秋のおにゅう峠に行ってきました。ラッキーなことに、日本海が一望できる天候に恵まれました。お時間があれば、こちらも見てやって下さい。

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