平石峠は、ハントのしがいのある一級の峠だ。その理由は大阪府道704号にもかかわらず、ダート・細道・丸太階段と難所が幾つも登場するためだ。しかも遣隋使が越えたシルクロードの東端、日本最古の官道(国道)である竹内街道の間道(抜け道)と歴史的な背景も十分ある。
また、この府県道704号は酷道マニアからは、「怖道」「腐道」「怖険道」などと呼ばれている。当然ながら実際には、恐ろしくも腐ってもいない。あえて「フ」の字を当てるなら、人々が長い年月に渡って「おもむき」越えた歴史の道として「赴」の字が似合っているように思う。
平石峠・調査NO.112
平石峠の周辺地図
- T点:平石峠
- A点:奈良県側、矢印看板
- B点:Y字分岐点
- C点:竹内峠方向
- D点:葛城山方向
- E点:大阪側、車両通行不可看板
奈良県側から大阪府へ平石峠を越える(丸太階段を下る)ルートをご紹介します。
平石峠 Pickup Photo
A点:国道166号(竹内街道)を府県道704号に入り南阪奈道路をくぐると、大きなカーブの右手に見える矢印に従って進む。ここを見落とすと、他に平石峠へのルートは無いので注意。
B点:少し荒れたコンクリート舗装の狭道を走るとY字分岐点になるので、ここは右手に進む。
B点:味のある赤錆びた道標が「平石」は、右手だと指している。
B点~T点間:分岐点のB点からは、ぬかるんだダートを駈け上がって行く。奈良県側から平石峠間には、階段状の所は無い。
T点:ぬかるんだダートを上り詰めると、斜面崩土等注意や幅員狭小・路肩注意の看板や数ヶ所に分岐する登山道が現れる。平石峠に到着だ。
T点:峠の位置には、その名を刻んだ石板が敷いてある。
T点:ダイヤモンドトレール「平石峠」。
T点:役行者の石像と不動像が少し高い位置に並んで祀ってある。
T点:平石峠は、葛城経塚二十八宿の「第二十四番経塚」にあたる。
T点:葛城経塚二十八宿とは、役小角(飛鳥時代から奈良時代の呪術者であり修験道の開祖)が法華経八巻二十八品を埋納したとされる経塚である。
T点:二上山や竹内峠、葛城山までの尾根を縦走する登山道が続いている。
T点:竹内街道は日本最古の「官道」であり、日本書紀に「難波より飛鳥に至る大道を置く」と書かれている歴史の道。
T点:竹内峠への道は、急階段の登山道でバイクで走ることはではない。
T点:さて、いよいよ平石峠から大阪府側へ下る。すぐに丸太の階段があり、進行方向の右手には平石川が沿っているので滑り落ちるとヤバイ。
T点~E点間:ダッダッダッとリズムを崩さずに階段を駆け下りて行くと、ここが一番の狭道区間になる。
T点~E点間:また階段が現れた。こういう状態だとセローを選んで、本当に良かったと心底思えてくる。
T点~E点間:本当にここは府県道なのかと猜疑心がピークに達する頃、「府道、704、大阪」とヘキサ(六角形の道府県道標)が登場する。この後、穏やかな道になり出口が近い。
E点:お疲れ様でした。ここで奈良県道・大阪府道704号、平石峠越えも終了です。休憩がてら周囲の様子を観察してみた。
E点:まずは、「金剛生駒国定公園」の石碑。けっこう大きいが、目立っていない。
E点:こんな峠の名を刻んだモニュメントを、いずれ自分で何処かの峠に掛けてみたいと思っている。
E点:花崗岩の天然石の道標には、「右 やまとみち/左 かうきじみち」と刻まれていた。これは「右は平石峠を越えると奈良県/左は高貴寺」と示している。
平石峠の四方山話
- 竹内街道の間道(抜け道)であり平石嶺道と呼ばれていた。
- 平石嶺道は大正11年には里道から府道へ編入され、現在の704号が旧道とほぼ重なる。
- 鎌倉初期からの平岩氏の居城があり、『太平記』にも記載がある。
- 南北朝の内乱時には、南朝方の拠点として攻防戦の舞台となった。
参考文献:『長尾街道・竹内街道』歴史の道調査報告書 第3集 昭和63年3月31日発行 大阪府教育委員会
平石峠の位置図
編集後記
今回の平石峠は、梅村丹八さんからコメント覧で紹介していただきました。ありがとうございました。どこか楽しい峠があれば、みなさんのご紹介をお待ちしてます!酷道・旧道・林道どこまでも・・・。