不毛、うら寂しい、はらがたわ峠にハマる言葉、選んだのは「荒涼」。国道だった過去を示すように、赤錆びたガードレールは折り重なる。つづら折れを示す警戒標識にも、泥が付着し錆が浮いている。木々はやせ細り、生物の気配も無い。ただ荒涼感だけが漂う。
はらがたわ峠は、丹波国の米や栗を運んだ能勢街道の時代が続き。1963年(昭和38年)には、二級国道173号池田瑞穂線に指定される。しかし、1983年(昭和58年)はらがたわトンネルの開通とともに旧国道となり、その役目を終えた。
昭和38年といえば、筆者と同年代である。
はらがたわ峠・調査NO.41
はらがたわ峠の周辺地図
- T点:はらがたわ峠
- A点:国道173号(はらがたわトンネル南側)
- B点:はらがたわ峠への分岐点
- C点:国道173号(はらがたわトンネル北側)
はらがたわ峠 Pickup Photo
A点:はらがたわ峠へは、このはらがたわトンネルの南側出口を左折して旧国道173号へと向かう。昭和58年(1983年)のトンネルが開通し、1990年(平2年)国道の指定から外れ旧国道となった。
B点:この道路標識を右折すると、はらがたわ峠へ至る。この辺りから旧道の雰囲気が漂いだす。
T点:九十九折れの峠道が楽しくて、一気にピークまで駆け上がる。峠を表すものは、何もない。地図を見ても分かるように、一方のみが九十九折れになる片峠となっていた。河川争奪でもあったのだろうか。
T点:低い位置からカメラを構えると、CB1300SBがちょうどピーク(峠)の位置にあることが分かる。はらがたわ峠からC点方向には、ロッジのような建物が並んでいる。
T点:はらがたわ峠にあった唯一の物は、真新しい警戒色の不法投棄監視カメラ。他に色の無い風景の中、どこかSF映画ぽいものを感じる。次は風景を噛み締めながら、旧国道173号を下る。
T点~B点:はらがたわ峠を通過する旧国道の象徴、交差する赤錆びたガードレール。このような構図の写真は、九十九折れた道であると同時にガードレールのある旧国道でなければ撮れない。ファインダーを覗いた瞬間、来て良かったと感じた。
T点~B点:ガードレールがジグザグ・ジグザグ。
T点~B点:やすりで表面を削ったような路面のヘアピンカーブが連続する。
はらがたわ峠の四方山話
名の由来:はらがたわ峠の名は、「はらが+たわ」と分割される。「たお」「とう」「たわ」「たわげ」とは、峠を示す。「はらが」は、ハラ(原)広い平地を表す。広い平地を持つ峠となり、北側が緩やかな片峠である地形とも一致する。
丹州街道(丹波街道):大阪府池田市から北に延びる能勢街道は、兵庫県川西市東畦野の一の鳥居で丹州街道と分かれる。一庫ダムの新道完成により旧道は水没した。さらに北進すると浮峠、はらがたわ峠、大阪最北端の天王峠を越えて兵庫県に入り、福住で篠山街道に接する。
≫ 浮峠/旧丹州街道の生きている大切な峠みちと地蔵さま
≫ 天王峠/小雪舞う凍結した旧国道173号の放つ色
はらがたわ峠の位置図
※ その他の地図へ
- 【はらがたわ峠へのツーリングルート】
≫ 春の大阪北摂、7つの峠越えコース/ツーリングルート関西版 - 【都道府県別・峠の一覧表】
≫ 大阪府の峠、一覧表
編集後記
人類が死滅して数年経った風景が見たいなら、冬のはらがたわ峠に行くことをお勧めしたい。きっと納得してもらえると思います。この峠は魅力を感じる。