大阪最北端、真冬の天王峠の旧国道173号は、小雪が舞い氷柱が下がり路面は凍結していた。落葉の焦げたような茶色、ガードレールに付着する苔の深い緑、木々の間から射す光の色。それは、不要な邪魔者達が放つ色。
新道は、アスファルト一色に塗り固めらている。邪魔・無駄・非効率そんなものを排除し、天王トンネルが山腹を貫く。足は自然と旧国道側へ向かう。邪魔者達に引き寄せられるように。
天王峠・調査NO.37
天王峠の周辺地図
- T点:天王峠
- A点:旧国道173号
- B点:大阪府と兵庫県の府県境
天王峠 Pickup Photo
T点:天王トンネルは、昭和52年貫通,昭和56年共用開始された。
T点:立派な国道開通記念碑がトンネルの脇に建っていた。碑陰には、「攝丹関」と彫られている。摂津国(大阪府池田市)と丹波国(京都府亀岡市)の関(関所)跡ということだろうか。
A点方向:旧国道173号の入口には、能勢町建設課の三角コーンと監視カメラ作動中と書かれたバリケードがあるが、通行止禁止ではないようだ。
A点方向:路面状態の確認のため旧国道173号へ歩いて状態を見に行く。路面を覆う苔が人の往来の無さを物語る。
A点方向:「丹州街道古民謡」碑「天王大坂七廻り身過ぎなりやこそ一夜おき越すは丹波のお蔵米九里に九つ峠を越えていこか池田の大和屋へ」1962年(昭和37年)に地元民により建立された。
A点方向:落葉の茶色とガードレールに付着した苔色が、旧道らしさを感じさせてくれる。この状態であれば、CB1300SBでも走れそうだ。
A点方向:ヘアピンカーブの路面も所々亀裂が入り、植物による侵食も見られる。
A点方向:さらに先を覗くと、路面が凍結している。
側面には氷柱が幾本もできていた。寒い!
天王峠の四方山話
- 加古川水系の水無川と武庫川水系の羽束川の分水界。
- 1978年(寛政10年)刊行の「摂津名所図会」では「脚木摺峠」(すねこすりとうげ)と明記されている。
- 摂津国(せっつのくに)と丹波国(たんばのくに)の間で境界論争が絶えなかった。
- 17世紀末の1699年(元禄12年)、丹波国が京都奉行所に提訴するが摂津国能勢郡天王村が勝訴している。
- 1876年(明治9年)、府県境の確定により、天王峠は大阪府となった。
天王峠の位置図
※ その他の地図へ
- 【天王峠へのツーリングルート】
≫ 真冬の大阪最北端、天王峠へツーリングルート関西版 - 【都道府県別・峠の一覧表】
≫ 大阪府の峠、一覧表 - 【その他の国道173号の旧道】
≫ はらがたわ峠/旧国道に交差するガードレールの荒涼感
≫ 板坂峠/廃道化が進む国道173号の旧国道と松茸山
編集後記
あまりの寒さに耐えきれなくなって、もう帰ろうと国道173号を南下したが、雪がさらに強くなってきた。視界がきかない。シールドを開けると顔が痛い。ところが、能勢トンネルを越えるとスカッと晴れていたので、左折して一庫ダムでダムカードを入手してみることにした。