林道サンギリ線から林道橡谷西ノ谷線をツーリング

林道サンギリ線から林道橡谷西ノ谷線をツーリング

林道サンギリ線、なんと魅惑的な名を持つ林道なんだ。行ってみたい、バイクで走ってみたい。そう心に響くものがある。実際に訪ねてみると、その期待が裏切られることはなかった。なんと人生初となる「野生の熊」との遭遇を体験したからだ。

林道サンギリ線は、日本オオカミ最後の生息地、奈良県東吉野村からさらに南下し、北方に「大台ケ原」、東方に世界遺産の「大峯駈道」と中国・近畿の最高峰「八剣山」、西方の三重県と奈良県の県境には「台高山脈」、南方にバスフィッシングの聖地「池原ダム」と迫力のあるフィールドに囲まれている。

この日は、満開の吉野山桜には目もくれず、谷道の林道サンギリ線と接続する巻道の林道橡谷西ノ谷線(大峰山脈展望ライン)を、たっぷりと時間を掛けてツーリングした。

林道サンギリ線と林道橡谷西ノ谷線(大峰山脈展望ライン)

  • 日付
  • 名称林道サンギリ線・林道橡谷西ノ谷線
  • 地図地形図位置図
  • 座標:34.119288,136.039938
  • 路面:オンロード
  • レビュアー峠ノ太郎(CB1300SB)
  • おすすめ度 5

この地域は日本有数の豪雨地帯となっているので、道路状況と天候の確認は必須です。ツーリング前には、国道169号の状況確認も忘れずに。天川村役場の観光情報トピックスには、PDFファイルで周囲の通行禁止状況の地図が添付されています。

林道 九十九折 眺望

林道サンギリ線の周辺地図

  • A点B点C点:林道サンギリ線
  • B点D点:林道橡谷西ノ谷線(大峰山脈展望ライン)
  • A点:林道入口(上北山村役場が目印)
  • B点:サンギリトンネル
  • C点:坂本ダム
  • D点:展望台
  • 1点:荒谷峠
  • 2点:サンギリ峠・白川峠

林道サンギリ線 Pickup Photo

サンギリ林道
A点:国道370号(伊勢街道)から国道169号(東熊野街道)を南下して、道の駅「吉野路上北山」で早い昼食を済ませる。お店の人にサンギリ林道の状況を聞くと、「バイク?余りおすすめできませんけどね・・・。」とのこと。何か楽しそうな予感に、ワクワクしてくる。

上北山村役場前を左折して北山川を渡り道なりに進むと、林道サンギリ線と書かれた道路標識と看板の建つ起点に到着した。

林道サンギリ線の起点
A点:起点に道路標識がきっちり有るとスイッチが入り、「さあ、行くぞ!」という気持ちが湧いてくる。

林道サンギリ線
A点B点間:路面状況が予想に反して良い。山肌はしっかりとした岩盤状になっており、土砂崩れなどの心配はなさそうだ。地形図を見ると向谷川を遡り、サンギリトンネルを境にして西ノ谷を下るように九十九折れの道が続いている。

林道サンギリ線
B点:サンギリトンネル手前は、スカッと眺望が抜けていた。隆起と浸食により創造された、険しい山々が折り重なる姿が美しい。バイクの背景に山並みを撮るには、絶好の撮影スポット。

zangiri_4
B点:無灯のサンギリトンネルの出口を見つめていると、何とも言えない「キュッ」とした気持ちになり、視線の先に灯る光に吸い込まれそうだ。

サンギリトンネルB点:サンギリトンネル

サンギリトンネル
B点:サンギリトンネルを抜けるとT字路になっており、眼前には山肌が広がっている。ポッポッと白く見えるのは、山桜が開花しているためだ。

このT 字を左折すると、D点の展望台方向になる林道橡谷西ノ谷線(大峰山脈展望ライン)に接続されている。まずは右折して、林道サンギリ線をC点方向に進むことにした。

林道サンギリ線の道路標識
B点C点間:この区間のガードレールには、国道169号と国道425号までの距離が等間隔で表示されている。延長のある林道なので、不安感を取り除くためだろうか。国道169号が通行止めの場合には、迂回路にも指定されることもあるようです。

サンギリ林道の落石
B点C点間:次第に落石が多くなってきた。また、肌に触れる風が心なしかヒンヤリとするので、谷道になったことが伝わってくる。

西ノ谷B点C点間:このまま西ノ谷に沿って下ると坂本ダムに出るが、既に時間を取り過ぎたのでここでUターンした。

サンギリ峠と白川峠の登山道
2点:ここがサンギリ峠と白川峠に通じる登山道の入り口になる。今日は、CB1300SBにシート下に登山用の靴を積んできた。歩いて峠をハントする予定で準備してきた。

コーンに巻かれた張り紙の「熊出没注意」の文字が真新しく、やけにリアル感が漂ってくる。2つの峠を越えるのに要する時間は、約一時間半と想定している。嫌な予感がするが、ここまで来るのに5時間は費やしているので後には引けない。

サンギリ峠と白川峠の登山道
一歩二歩と恐る恐る歩く。五感を研ぎ澄まし歩く。・・・。・・・。・・・。あ~ダメだ!やっぱり怖くて進めない。諦め撤退することにした。(後に、この判断が正しかったとを痛感することになる。)

林道橡谷西ノ谷線 Pickup Photo

林道橡谷西ノ谷線(大峰山脈展望ライン)
B点:再びサンギリトンネルまで戻る。次は、林道橡谷西ノ谷線(大峰山脈展望ライン)側を走る。不思議なことにCB1300SBに乗っていると、熊でも「来るなら来てみろ!」という気持ちになってくる。バイクに乗ると性格が変わるようだ。

林道橡谷西ノ谷線の起点
B点:こちらも起点には、看板と道路標識が設置されていた。『又剣山まで通行可能、その先通行止め』と書いてあったので、行ける所までと思いバイクを走らせる。

大峰山脈展望ライン
D点:予期せず展望台があった。そこから林道橡谷西ノ谷線を見ると、山腹を巻く爽快感のある林道だということがよく分かる。

大峯駈道D点:山高く谷深し!林道橡谷西ノ谷線が大峰山脈展望ラインと呼ばれていることが、実感できる雄大な風景が広がっている。

世界遺産・大峯駈道
D点:誰も居ない展望台ほど、気持ちの良い場所はない。気になっていた高峰の山並みは、ユネスコの世界遺産『紀伊山地の霊場と参詣道』の「大峯駈道(おおみねおくがけみち)」だと分かった。

紀伊山地の霊場と参詣道D点:ここから見える標高1500mから2000m級の高地が修験道の修行場のようだ。

林道橡谷西ノ谷線の通行止め
展望台から眺望の良い爽やかな道をしばらく走ると、林道橡谷西ノ谷線の通行止めの位置に到着した。ちょうど登山者の一行が下ってきたので先の様子を尋ねてみると、バイクで通過できる状態ではないとのことなのでUターンする。

林道橡谷西ノ谷線で熊と遭遇
あァ~来て良かったと再び大峯駈道の展望を横目で見ながら、ゆっくりとコーナリングしていると100m弱くらい先の路面上に黒い動く物が見えた。なんと二匹の子連れ熊だ!

少し距離があったのとCB1300SBという巨艦バイクに跨っている安心感からか、冷静さを保つことができているのが自分でも分かる。親熊から視線を外さないように、その動向を観察する。真っ黒な体毛が野生熊であることを証拠付けるかのように、逆光を浴びビロードのように輝いている。

親熊もこちらへの視線を外さない。二匹の子熊は無邪気に遊んでいるかのように見える。やがて親熊が林の方へ入っていき、その後をヒョコヒョコと子熊が追って行った。三匹の姿は消えたが、しばらくは動けなかった。

林道サンギリ線と林道橡谷西ノ谷線の位置図

  • 【眺望が良い林道の峠をセレクト】
    徳島県/林道深淵落合線の「落合峠
    滋賀県・岐阜県/広域基幹林道鳥越線の「鳥越峠
    岐阜県・福井県/林道冠山線の「冠山峠
    京都府/林道谷山線の「サカサマ峠
    福井県・岐阜県/林道塚線の「高倉峠
  • 【都道府県別・峠の一覧表】
    奈良県の峠、一覧表

編集後記

高見峠の三重県側経路が復旧したとの情報を掴んでいたので訪ねることを楽しみにしていたのですが、時間切れで行けずに終わったことが心残りです。でも最も危険だと言われている春の子連れ熊に出くわすなんて、何事も無くてラッキーでした。

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