美しい峠とは、どのような峠を指して言うのか。その答えの一つが、この茶呑峠にあるようだ。まず、この峠を魅惑的にしているのは、絶妙な光の演出効果。峠に立つ足元には、樹間のスリットを通過した光の飛沫が降り注ぐ。視線を上げると乱反射した光が万華鏡の世界を見せてくれる。
次に、峠に有るべきものが有る安心感と刻まれた歴史。峠のお地蔵さまの覆堂は、天然石で囲み屋根は樹皮葺されている。丸彫りのお地蔵さまは、江戸中期の立像。中央に位置する石標には、「右山国ゆげみち、左下村しうざん」と古道の名を彫む。
茶呑峠を楽しむなら道の駅(ウッディー京北)から国道477号の殿橋バス停を右折し稲荷谷川沿いの林道稲荷谷線を稲荷谷川に沿って遡るのルートがいい。この林道はGoogle mapでは途中で切れているが、ここからハードな急勾配のガレが峠へと続いている。一気に登り切らないとずり下がり転倒は必至だ。勾配が落ち着いてくると、そこが茶呑峠となる。地蔵堂、古木、四叉、道標石(どうひょうせき)、全てが揃った峠の姿が表れる。
茶呑峠・Pass Hunting NO.56
- 調査:
- 峠名:茶呑峠(ちゃのみとうげ)
- 路線:林道稲荷谷線
- 所在:京都府京都市右京区京北下町∧北区大森牛ケ滝
- 座標:35.161546,135.674672
- 標高:540m、路面:オフロード
- レビュアー:峠ノ太郎(セロー250)
- おすすめ度: 5
茶呑峠は、京都北部のおすすめの峠です。オフロード林道も楽しめ、お地蔵さまの祀られた空間は京の趣に包まれています。
茶呑峠の周辺地図
- T点:茶呑峠
- A点:国道477号上の殿橋バス停から稲荷谷川沿いの林道稲荷谷線を上る経路。
- B点:大森から国道162号(周山街道)へ下る経路
※ 詳細な経路は、電子地形図が一番分かりやすい。 ↑
茶呑峠 Pickup Photo
光の渦に包まれて、大きな万華鏡の中にいるように、美しく一体感のある景観になっている。
光を背景に立つ、お地蔵さまの祀られた覆堂は神々しい。
一参拜人と名乗るこの方も、この地蔵菩薩の魅せられたのだろう。
ここまで立派なお地蔵さまは、これまでに無かった。
朽ちていく感じも好きだ。
「左下村しうざん」は、カモチ谷に下る。「右山国ゆげみち」は、小浜街道に通じるユリ道。また行きたくなる峠の一つになった。
茶呑峠の位置図
- 【茶呑峠へのツーリングルート】
≫ 京都北部の旧道と林道を巡るツーリングルート関西版 - 【都道府県別・峠の一覧表】
≫ 京都府の峠、一覧表
編集後記
今回の茶呑峠のような一般的な道路地図に記載の無い峠道を行く場合には、地形図のコピーを持参するかURLをブックマークしておくと便利です。また、川の位置に注意して進むと迷わずに到着することができます。ナビゲーションに徒歩モードの無い場合には、混乱を避けるために使わない方がいいかもしれません。
このような場所は急勾配であったり地盤が弱いなど危険な場合が多いので、道に迷うとその危険度が増してしまいます。分岐点では必ず立ち止まり、周囲の地形と地形図を合わせて確信が持てなければ進まずに来た道を戻って再度確認してから進む、この方が安全で速く目的地に着きます。