屋根より高い鯉のぼり♪ 「かやぶき屋根」の古民家の庭先には、鯉のぼりが春の穏やかな風に乗ってたなびいている。時折、大谷川沿いに見られる枝垂桜や八重桜が美しい。ゴールデンウィークの今日、標高653mの能見峠(久多峠)に隔てられた山里の遅い春を感じながらツーリングをした。
都会の人々は、満開だった桜のことなど忘れ去り、葉桜となった並木道を足早に通り過ぎる。そんな時期だからこそ、観光地に咲く群れた桜とは異なる孤高で凛とした枝垂桜の立ち姿に、ひときわ美しいと心惹かれた。
セローを咲き誇る桜の木陰に停め、ゆったりと時間を使う。途中に見た廃校になった小中学校や鯉のぼりを思い出し、来春も見ることが出来るのだろうか・・・。と思いながら。そんな遅い春に包まれた山里の広河原能見町と久多宮の町を古くから隔てているのが、切り通した能見峠(久多峠)になる。
能見峠(久多峠)・調査NO.102
能見峠(久多峠)の道路交通情報
京都府道110号の左京区久多宮の町から左京区広河原能見町までの区間は、冬期には閉鎖される。京都府では、今年度の冬季期間を12月1日~翌年3月15日としていた。
能見峠(久多峠)の周辺地図
- T点:能見峠(久多峠)
- A点:京都府道38号と110号の接続点
- B点:110号と781号の接続点
A点から京都府道38号を北上すると、京都美山の人気峠である佐々里峠へ至る。B点から滋賀県道783号・京都府道781号を経由し林道小入谷線を北上すると、福井県と京都府との境に絶景が広がるおにゅ峠がある。
能見峠(久多峠) Pickup Photo
GWに佐々里峠を越えて京都府道38号を走るのは、毎年の恒例行事のようになっている。この時期の道の駅「美山ふれあい広場」には、うんざりするほどのバイクが停まっているが38号で見かけることは少ない。こんな良い所を走らないで、彼らは何処に向かうのだろうか。
A点:京都府道38号を左折して「のうみぐちはし」を渡ると、京都府道110号(久多広河原線)に接続する。この周辺は豪雪地域のために、冬季通行止めになる。また、2m以上の車幅のある車両は通行禁止だ。
A点:こんな人の気配の無い所に学校があるんだ・・・。と思い見に行くと、看板には、元堰源小中学校広域避難場所となっていた。校門の入口には、懐かしい「二宮尊徳(金次郎)」の像があった。廃校になって、ちょっと寂しそう。
A点~T点:途中、ダートの脇道があったので寄り道してみた。舗装路を長い間走っていると、無性にオフロードが誘惑してくる。
T点:能見峠(久多峠)には、木製の看板が建っており、「久多宮ノ町」と「広河原能見町」と彫られていた。これと同じ物は、佐々里峠と花脊峠にもある。いずれも、京都北山を代表するような峠だ。よく見てみると「北山クラフト6.2km」とありネットで調べると、北山クラフト協同組合と言う家具屋さん?のようです。ちょっと・・・。
T点:能見峠(久多峠)からの眺望は、良いとは言えないが久多の集落が眼下に見える。
T点~B点:久多側に下って行く途中では、ここが一番勾配のあるヘアピンカーブになる。
T点~B点:京の都から落ちた平家が隠れ住んだという久多に向かって、城壁を転がるように走る。
B点:勾配も緩やかになり道幅も広がる快走路に変わると、川辺には大勢の人がアマゴ釣を楽しんでいた。いこいの里久多キャンプ場で大会が開催されていたようだ。
B点:次の目的地である「おにゅう峠」へ向かうために、京都府道110号を左折して滋賀県道783号・京都府道781号(麻生古屋梅ノ木線)に入り、「古屋・生杉・麻生」方向へ進んだ。
能見峠(久多峠)の四方山話
- 能見峠は、久多峠とも呼ばれ、どちらも地名に由来する名前である。
- 久多地域は、平家の落人集落との説がある。
- 久多の花笠踊は、国の重要無形民俗文化財に指定されている。
能見峠(久多峠)の位置図
- 【能見峠(久多峠)へのツーリングルート】
≫ GW欲張りツーリング、桜と眺望と残雪のダートを楽しむ - 【都道府県別・峠の一覧表】
≫ 京都府の峠、一覧表
編集後記
久多の集落の人々は「久多峠」と呼び、能見の集落の人々は「能見峠」と呼んでいたのだろうか。二つの地名由来を持つ峠には、里山間の相容れない隔絶した地域感情のようなものを想像してしてしまいます。峠は「故郷と異郷の分岐点」とは、上手く言ったものです。