三国越展望台への斜面を登ると、奈良県から伊賀盆地を一望する素晴らしいパノラマ絶景が広がっていた。海原に立つさざ波のように、山並みが迫ってくるようだ。大阪から僅か60km余りの場所で、こんな絶景が見られるとは。
三国越に至る林道三国越線は、コーナリングも十二分に楽しむことができる。特にセローのような軽量でコンパクトなバイクだと、S字の切り替えしが小気味良くて爽快だ。対向する車両もバイクも、ほとんど無いのもいい。
唯一の難点と言えば、ピークが幾つもあるために道に迷いやすいことだ。ただ今回は、そのお蔭で心が豊かになるような人達との出会いに恵まれた。人生と同じく、たまには道に迷うことも必要なようです。
三国越・調査NO.101
三国越の周辺地図
- T点:三国越(展望台)
- A点:国道163号(伊賀街道「笠置街道」)からの進入路
- B点:和束・野殿・切山方向のT字路、[34.77369,135.928346]
- C点:林道野田線の看板、[34.774244,135.9424]
- D点:林道三国越線の案内図、[34.778273,135.941843]
三国越 Pickup Photo
A点:大阪方面から国道24号を木津川に沿い、国道163号(伊賀街道「笠置街道」)を東に向かう。途中に木屋峠の進入路を通過して、木津川を渡す笠置大橋(北笠置)の信号手前にあるホテルの看板が乱立する所を左折する。
A点:いきなりヘアピンカーブ登場。三国越までは全区間とも舗装路なので、オンロードバイクでも不安なく走行することができます。
A点~B点間:一つ二つとコーナーをクリアするごとに標高が上がる、急勾配の九十九折れの道が続く。左手には、ゴールデンウィークで賑わう木津川の河川敷キャンプ場の様子が見える。
A点~B点間:笠置型灯篭:「奈良時代から弥勒(みろく)の聖地として信仰を集めてきた笠置山の参道に並べられた笠置型灯篭を再現したものです。」この切山地区の沿道には、集落が点在している。
B点:最初の分岐点となるT字路。
B点:左折し「和束」方向へ行くと、木屋峠北側の京都府道62号(宇治木屋線)に接続する。こちらは、帰路に利用した。三国越へは、「野殿」方向に右折する。
C点:右手に分岐する林道野田線の看板を発見する。「この先800m先、行き止まり、方向転回できません」と書いてあったので行ってみることにした。
いきなり、予想外の眺望がドンと広がった。
国道163号(A点の北笠置)と木津川に架かる笠置大橋が眼下に見える。帰宅後、高圧線を目印に地形図を読むと、標高は約400mだった。
眺望を堪能した後、さらに奥へと林道野田線を進む。オンロードバイクの場合は、ここでUターンしないと帰宅困難者になる可能性が高い。
ダート出現。このまま標高400mを木津川まで、一気に下るような急勾配のダートになっている。
倒木もあり林道も斜面の一部と化してきたので引き返すことにした。欲張り過ぎて注意看板の「方向転回できません」を実感することとなる。
D点:林道三国越線の案内図が書かれた看板があった。B点~D点間には複数の枝道があり、どれも急斜面のダートになっている。おそらく、この間が京都府南部で最も険しく深い山間部と言って間違いないだろう。
D点:案内図の隣には、南山城横断林道開通記念の碑。何で?林道三国越線じゃないのかと、もう一度案内図を見ると。南山城横断林道と林道三国越線と三国越線と3つの表記が混在していた。お役所の縄張りの影響だろうか。
D点の案内図から先に進むと下り勾配になり、集落が点在し始めた。ここで迷う。標高が下がったことに違和感を感じ、道を間違えたのではないかと思い出したのだ。
ちょうど畑仕事をされていたご夫婦に、三国越展望台への道を尋ねた。帰路に再び通り、「親切に教えていただき無事に到着できました。」と御礼を言って、少しお話しをする。
このご夫婦は、障害者の方に馬や犬などと触れ合う場を提供されているとのこと。その会話のはしばしから優しさがあふれていた。「バイクは、鉄馬とも言うから同じ様なものですね!気を付けて帰って下さい。」と見送っていだだきました。ありがとうございます!
T点:三国越に到着する。京都府と三重県の府県境なので、通常は案内標識が建っているはずだが何も無い。道路勾配のピークは、ここよりもう少し京都寄りになっている。
T点:終点の林道表示を見て、広域基幹林道だったと知る。どうりで良い道な訳だ。
- 【これまでに訪ねた広域基幹林道】
≫ 鳥越峠/滋賀県と岐阜県の絶景広がる広域基幹林道
≫ 八丁峠/京都の丹波広域基幹林道を跨ぐ代表的な林道
≫ 林道サンギリ線から林道橡谷西ノ谷線をツーリング
T点:単なる斜面のような三国越展望台の道を期待感なく登る。
T点:質素
T点:スゴイ!これまでに色々な眺望を見てきたが、かなりレベルが高い。連綿(れんめん)。そう、低山が連綿と続くさま。山々が波打つさま。カメラに収まらないパノラマ絶景。どうのように表現したらいいのだろうか。
T点:左手を眺めると、伊賀盆地の街が見える。遠景の稜線に建つ白いものは、青山高原の風車群だ。これまでに訪ねた峠らが目の前でつながる。地図上では、決して得られない快感を感じる。
T点:次に右手に視線を移すと手前に高山ダム、その後方に美しい湖面の月ヶ瀬湖が見える。
T点:三国越の京都寄りに少し行くと、司馬遼太郎の長編小説『梟の城』の冒頭にも登場する有名な「御斎峠」へ通じる林道多羅尾線と接続している。この峠にも展望台があり、一味違った眺望が楽しめます。
帰路は林道三国越線をB点:まで戻り、そのまま直進して京都府道62号(宇治木屋線)から木屋峠を越えて国道163号を利用した。
三国越の四方山話
- 林道三国越線は、林道3本が複合した広域基幹林道となっている。
林道三国越線(京都府側)+林道三郷田線+林道三国越線(三重県側) - 南山城村議会だより(2010/11/01)によるとサル・シカ・イノシシによる被害が続出しており、シカ一頭捕獲の奨励金として、2万5千円を出している。
- 三国越の名の由来は、山城(京都)×伊賀(三重)×甲賀(滋賀)の三国に掛かるため。実際には、滋賀県との国境とは外れている。
三国越の位置図
編集後記
海・山・川・湖と人によって好みの風景があると思いますが、ツーリングで不意打ちのように突然「ドキッ!」と現われる光景は最高ですよね。そんな光景にたくさん出会いたいものです。