スパッ!一刀両断。天引峠の道路標識は、国道だった過去をぶった切るかのよう切断されていた。残されていたのは、「国道372号」を示す青色の逆三角形(通称「おにぎり」)の道路標識一つのみ。
千利休は、庭に咲く朝顔を全て切取り、床の間に一輪だけ朝顔を生けた。秀吉は、その朝顔の美しさに感嘆したという。そんな逸話を思い出しながら、旧国道となった天引峠の周囲を佇み歩く。
旧国道のもはや外界と断絶された空間に、日本の美意識「わび・さび」に近いものを感じる。まったく人の気配の無い落葉の堆積した路上に、2頭の猪がこちらを警戒した様子で見ている。ここは既に獣らの領域のようだ。
天引峠・調査NO.100
天引峠の周辺地図
- T点:天引峠
- A点:旧国道への進入口(兵庫県側)
- B点:旧国道への進入口(兵庫県側:柵があり通行不可)
- C点:旧国道への進入口(京都府側)
天引峠 Pickup Photo
B点:天引トンネルは、2003年11月に完成した。
C点~T点:の京都府側から旧国道に入ると、直ぐに倒木に出会う。落葉や落石も多少有るが、この辺りの路面状況は良く現役の一般道のようだ。
C点~T点:見事に崩落しています。旧道なので復旧工事は行わないのでしょうか。
C点~T点:謎なのが、この「市道 天引西野々線」と書かれた木杭です。旧国道372号は、市道へと指定替えされたのでしょうか?
T点:天引峠周辺の路面は、旧国道らしく落葉が堆積しています。
T点:ちょうど天引峠の位置に、国道372号の路線番号案内標識が立つています。他の道路標識は全て切り取られている様子から、意図的に残したように思われます。旧道を写真に撮るには、一番嬉しい残存物です。
T点:天引峠は、兵庫県と京都府の府県境であり狭山市と南丹市の市境になるので、兵庫県側に向かう左手の案内標識の上部には「兵庫県」、下部には「篠山市」と書かれていたと推測できる。
T点:木杭には、「路線名 国道372号」「終点 2000m」と書かれていた。
T点:切断された道路標識に雨水が溜まる。
T点:かなり風化して何が刻まれているか読み取れないが、お地蔵さまが祀られていた。背後に船の形をした飾りのある舟形(ふながた)地蔵が街道筋だった頃を偲ばせてくれる。
B点:天引峠から兵庫県側に抜けるこの部分は、最近造られた道のように思えてならない。なぜ、旧道に新道を通すのか不思議でならない。市道の名称といい、何かが計画されているのかもしれません。
天引峠の四方山話
- 天引峠は、岩坂峠とも呼ばれていた。
- 律令時代の山陰道(古代山陰道)は、畿内と山陰道諸国の国府を結ぶ官道であり、七道の中で小路とされた。(wikipedia:山陰道より)
- 国道372号の通称は、「さんななに」。
天引峠の位置図
- 【天引峠へのツーリングルート】
≫ 兵庫県と京都府の国境に沿い峠を巡るバイクツーリング - 【都道府県別・峠の一覧表】
≫ 兵庫県の峠、一覧表
≫ 京都府の峠、一覧表
編集後記
バイクで走る爽快感もコーナリングの楽しみも無いのに、何でこんな旧道が好きなんだろうか?今回で峠を訪ねて、ちょうど100峠目となりました。