天引峠/旧国道372号に残された「おにぎり」が一つ

天引峠

スパッ!一刀両断。天引峠の道路標識は、国道だった過去をぶった切るかのよう切断されていた。残されていたのは、「国道372号」を示す青色の逆三角形(通称「おにぎり」)の道路標識一つのみ。

千利休は、庭に咲く朝顔を全て切取り、床の間に一輪だけ朝顔を生けた。秀吉は、その朝顔の美しさに感嘆したという。そんな逸話を思い出しながら、旧国道となった天引峠の周囲を佇み歩く。

旧国道のもはや外界と断絶された空間に、日本の美意識「わび・さび」に近いものを感じる。まったく人の気配の無い落葉の堆積した路上に、2頭の猪がこちらを警戒した様子で見ている。ここは既に獣らの領域のようだ。

天引峠・調査NO.100

  • 調査
  • 峠名天引峠(あまびきとうげ)
  • 路線:旧国道372号(古代山陰道)
  • 所在:京都府南丹市園部町天引∧兵庫県篠山市西野々
  • 地図電子地形図位置図
  • 座標:35.068761,135.382278
  • 標高:319m、路面:オンロード
  • レビュアー峠ノ太郎(CB1300SB)
  • おすすめ度 4

天引峠には、兵庫県と京都府のどちらからでもアプローチが可能です。峠に立つ1本の国道標識が役目を終えた旧国道を無言で語っているかのようです。

旧国道 街道 地蔵

天引峠の周辺地図

  • T点:天引峠
  • A点:旧国道への進入口(兵庫県側)
  • B点:旧国道への進入口(兵庫県側:柵があり通行不可)
  • C点:旧国道への進入口(京都府側)

天引峠 Pickup Photo

天引トンネル
B点:天引トンネルは、2003年11月に完成した。

旧国道372号の倒木
C点T点:の京都府側から旧国道に入ると、直ぐに倒木に出会う。落葉や落石も多少有るが、この辺りの路面状況は良く現役の一般道のようだ。

旧国道372号の崩落
C点T点:見事に崩落しています。旧道なので復旧工事は行わないのでしょうか。

市道 天引西野々線
C点T点:謎なのが、この「市道 天引西野々線」と書かれた木杭です。旧国道372号は、市道へと指定替えされたのでしょうか?

天引峠T点:天引峠周辺の路面は、旧国道らしく落葉が堆積しています。

天引峠の道路標識T点:ちょうど天引峠の位置に、国道372号の路線番号案内標識が立つています。他の道路標識は全て切り取られている様子から、意図的に残したように思われます。旧道を写真に撮るには、一番嬉しい残存物です。

天引峠の道路標識T点:天引峠は、兵庫県と京都府の府県境であり狭山市と南丹市の市境になるので、兵庫県側に向かう左手の案内標識の上部には「兵庫県」、下部には「篠山市」と書かれていたと推測できる。

国道372号の木杭T点:木杭には、「路線名 国道372号」「終点 2000m」と書かれていた。

天引峠の切断された道路標識
T点:切断された道路標識に雨水が溜まる。

天引峠の舟形地蔵T点:かなり風化して何が刻まれているか読み取れないが、お地蔵さまが祀られていた。背後に船の形をした飾りのある舟形(ふながた)地蔵が街道筋だった頃を偲ばせてくれる。

旧国道372号
B点:天引峠から兵庫県側に抜けるこの部分は、最近造られた道のように思えてならない。なぜ、旧道に新道を通すのか不思議でならない。市道の名称といい、何かが計画されているのかもしれません。

天引峠の四方山話

  • 天引峠は、岩坂峠とも呼ばれていた。
  • 律令時代の山陰道(古代山陰道)は、畿内と山陰道諸国の国府を結ぶ官道であり、七道の中で小路とされた。(wikipedia:山陰道より
  • 国道372号の通称は、「さんななに」。

天引峠の位置図

編集後記

バイクで走る爽快感もコーナリングの楽しみも無いのに、何でこんな旧道が好きなんだろうか?今回で峠を訪ねて、ちょうど100峠目となりました。

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