栗柄峠の東手、山間盆地の狭い水田が開けた場所に、日本でも珍しい「谷中分水界」がある。これは、約2万年前の「河川争奪」によって人の手により形成された。
自然破壊という言葉があるが、太古の人類が川の流れを変える行為と、現在行われているダム開発と何処に違いがあるのだろうか。2万年という途方もない時を思うと、人類とは「自然改変」することでしか生命維持ができない特異な生物のように思えてくる。破壊ではなく、生存する限り続く性”自然改変”を習性とする生物と。
- 太平洋へ:鼓峠の分水界から分かれた宮田川は、篠山川、加古川を経て瀬戸内海から太平洋へ注ぐ。
- 日本海へ:北方からの杉ヶ谷川は、宮田川に合流せずに突如西へ折れ滝の尻川、竹田川、由良川を経て日本海へ注ぐ。
参考:「くりから谷中分水界」看板
栗柄峠・調査NO.96
栗柄峠の周辺地図
- T点:栗柄峠
- A点:鼓峠
栗柄峠 Pickup Photo
T点:栗柄峠は、兵庫県丹波市春日町野瀬と篠山市栗柄を隔てるので案内標識が建っている。
T点:篠山市栗柄側から見た栗柄峠。
T点:栗柄峠からガードレールの下を覗くと、太平洋側へ注ぐはずの杉ヶ谷川が倶利伽羅不動で4m近く落下して、滝の尻川、竹田川、由良川を経て日本海へ注ぐ様子がみられる。
丹波市側は九十九折れた道になるが、ダム開発のために所々道路拡幅工事も行われていた。
丹波市側にはヘアピンカーブもあるが、篠山市側はフラットである。隣接する鼓峠と同様の「片峠」になっている。河川争奪による典型的な片峠地形を意識して兵庫県道69号(春日栗柄線)の両峠間をバイクで走ると、十二分に体感も出来るので興味も増と思う。
道路拡幅やダム工事にトンネル掘削は、現代版の「河川争奪」のようなものではないか。誰から何を奪うのか、誰が何を得るのか。それすら、誰も分からなくなっているような気がする。
栗柄峠の位置図
- 【栗柄峠へのツーリングルート】
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編集後記
ブログをWordPressに変えてから、プラグインの便利さには驚いています。FC2では苦労していた、各地域の峠の一覧表の並べ替えも簡単に設定できたり。リンク切れも自動的にチェックしてくれたり。特にAll in One Seo は、最強です。