ダメだ!まだ腕に力が入っている。
犬打峠から和束町側へ抜ける超急勾配の下りヘアピンカーブ、ここでニーグリップの重要性を理解した。タンクをボコッと凹ますぐらい両膝でグッと挟むと、不思議と腕の力が抜ける。後は、視線をコーナーの奥へ向けるとクルッと曲がる。バイクて面白い。始めは怖かった道が楽しさに変わる。
犬打峠の和束町側には茶畑が広がっていおり、その美しい緑色に間違いなく立ち止まることになるだろう。余り知られていないが相楽郡和束町は、日本を代表する茶産地であり「茶源郷」と呼ばれている。ここ犬打峠は、見て良し走って良しの宇治ナンバーワンの急勾配ヘアピンカーブのある峠だ。
犬打峠・調査NO.9
- 調査:
- 峠名:犬打峠(いぬうちとうげ)
- 路線:京都府道62号(宇治木屋線)
- 所在:京都府相楽郡和束町別所∧同郡宇治田原町南
- 地図:Google Map
- 座標:34.813236,135.892032
- 標高:369m、路面:オンロード
- レビュアー:峠ノ太郎(CB1300SB)
- おすすめ度: 4
犬打峠は狭路ではあるが落石などは無く路面状態は良い。東方には林道鷲峰山線が殻池峠まで延びる。林道鷲峰山線は、舗装路なのでオンロードバイクでも十分走行は可能だ。
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犬打峠 Pickup Photo
相楽郡和束町側から京都府道62号(宇治木屋線)を北上すると道路拡幅済の区間があり、その脇には美しく深い緑に輝く茶畑が整然と広がっている。通行する車両もほとんど無く、気持ちのいい快走区間だ。
T字に突き当ると道路標識があり、左折すると犬打峠に至る。
道幅は狭くなるが、路面状況は悪くない。 地元の方が利用するのか、時折り対向車があり注意が必要。
綺麗に円弧を描くヘアピンが幾つも有る。最急勾配地では、CB1300SBを停めることすらできない。
林道鷲峰山線への進入路 [撮影:2014/05/17]
犬打峠の四方山話
名の由来
鎌倉幕府討幕の挙兵を目指す後醍醐天皇の一行は、幕府方の目を逃れるために谷沿いの道を通り峠にさしかかった、この時、野犬(ヤマイヌ)の群れが表れ、いっせいに吠えはじめた。一行は敵に気付かれるのを防ぐため、弓を射て犬を殺し、金胎寺へ向った。そして翌日、後醍醐天皇は笠置山に移り、討幕の兵を挙げた。鎌倉幕府滅亡のきっかけとなった元弘の役のはじまりである。そして、これ以後里人達は、この峠を犬打峠と呼ぶようになったという。
参考文献:『京・近江の峠道』
犬打峠の今後
勾配が緩やかになると、京都府道5号の交点まで再び改良工事がされた立派な道路となる。このことから犬打峠は、拡幅された新道に挟まれていることが分かる。このような峠の多くは、何れの日にかトンネルが開通し旧道となり廃道となって消える。
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編集後記
この日、犬打峠で写真を撮っていると軽自動車に乗った老夫婦が近づいて来て、病院までの道を尋ねられた。どうされたのですか?と聞くと、バイクで転倒して怪我をした人を運んでいるとのこと。後部座席を見ると、痛みに顔を歪ませて左腕を押さえている若者がいた。
峠道は急傾斜で道幅も狭く落石や落葉などもあり、危険を楽しむような場所ではありません。安全マージンを保つことを忘れずに、長くバイクライフ続けたいものです。自戒を込めて。