こんな悪路が本当に必要なんだろうか?と疑問符が付く道が多々ある。それらは酷道や険道、腐道などと呼ばれている。この笠間峠を越す奈良県道・三重県道781号も険道の一つとして、その名は酷道マニアの間に知られている。
笠間峠の歴史は、鎌倉時代初期まで遡ることができる。初見は、「黒田坂」の名で文治5年(1,189年)の『鎌倉遺文』にその名がある。歴史は雄弁に語る。伊賀国黒田荘の古道、荘園支配の道、笠間街道と。
笠間峠の歴史を辿ると「こんな悪路が本当に必要なんだろうか?」という問いが愚問だと分かる。長い時間の経過とともに形は変わっても、峠道に記憶された歴史を消すことはできない。日本人とは、そういうものだ。要・不要の問題ではなく、残すべき遺産となっているのだ。
笠間峠・Pass Hunting NO.131
- 日付:
- 峠名:笠間峠(かさまとうげ)
- 路線:奈良県道・三重県道781号(都祁名張線)、笠間街道(奈良街道)
- 所在:奈良県宇陀市室生上笠間∧三重県名張市坂之下
- 座標:34.607715,136.052367
- 標高:461m、路面:オンロード
- レビュアー:峠ノ太郎(セロー250)
- おすすめ度: 4
笠間峠は鎌倉時代から存在する奈良県と三重県の県境に位置する笠間街道(奈良街道)の歴史深い峠です。現在は両県の県道に指定されているが急勾配の悪路、マニアからは険道に分類されている道です。
笠間峠の地図
- PIN:笠間峠
- 1点:奈良県側
- 2点:三重県側
笠間峠 Pickup Photo
1点:国道25号(名阪国道)から国道369号を経由して白石の交差点を左折し奈良県道・三重県道781号へ入った。民家もまばらな道をしばらくバイクで走る。笠間峠が近づくと、急に光が遮断され道路幅員が狭まる。
PIN:三重県と名張市の道路案内標識が現れると笠間峠に到着する。この峠は、奈良県と三重県を隔てている。
PIN:三重県側から峠を眺めると、奈良県宇陀市と道路案内標識に書かれている。書籍『歴史と古道』には、旧道に地蔵があると記載されていたが残念ながら見つけることはできなかった。
PIN:道路標識の横手の斜面には、三重県と0と記された四角柱があった。県境を示す境界柱?0は、何を示すのだろうか?
2点:奈良県側はフラットだが三重県側へ下ると、急勾配の九十九折れの峠道らしい様相になる。これは、片峠の形状だ。
2点:時折、林間から集落と区画整理された田んぼが見える。下り切った方向には、有名観光地の赤目四十八滝や香落渓、青蓮寺湖などがある。今回は紅葉シーズン中なので、渋滞を避けるために迂回した。
林道滝口夫婦川線
ツーリングマップルに「荒れた路面 道路幅狭く草が茂っている ダート1.5km」と書かれていて、以前から気になっていた林道滝口夫婦川線を走った。天然のゴロゴロした石畳のような路面をリズミカルにバイクで走るのが楽しい林道だった。
林道滝口夫婦川線の地図
参考文献:『歴史と古道 ‐歩いて学ぶ中世史‐ 』