鼓峠のある兵庫県道・京都府道97号(篠山三和線)をバイクで走ると、何か忘れ物でもしたかのような気持になる。その不可思議さの正体を知るためには、2万年前に時を戻さなければならない。
鼓峠を語るワードは、河川争奪・谷中分水界、古戦場など多彩だ。だがバイク乗りにとってこの峠の一番の珍しさは、「片峠(かたとうげ)」であることだろう。篠山市本郷から多紀アルプスの稜線を背にして、急峻なヘアピンカーブを一つ二つと上り詰めると鼓峠に行きつく。
通常、峠を境にして下り勾配になるはずだが、鼓峠は真直ぐにフラットな道が続いている。これが2万年前に河川争奪によって捻じ曲げた川筋が長い歳月を掛け、一方の土地を徐々に浸食しながら造ったのが「片峠」の正体です。
鼓峠・調査NO.95
鼓峠の周辺地図
- T点:鼓峠
- A点:多紀連山景観地点
- B点:栗柄峠
鼓峠 Pickup Photo
A点:兵庫県道・京都府道97号(篠山三和線)では、多紀連山の眺めが最も良い場所です。
A点:鼓峠までは、走りがいのある上り勾配のコーナーになっています。
A点:多紀連山は、多紀アルプスとも呼ばれ主峰は御嶽(793m)西ヶ嶽(727m)と小金ヶ嶽(725m)になる。
A点:この山並みは、バイクで走っている間ずっと気になる存在でした。ゴツゴツした稜線は迫力があります。
A点:裏手は崖になっていて、眼下に車道が見える。
T点:鼓峠に到着しました。CB1300SBをUターンさせているので、後方がB点の栗柄峠方向になります。この写真は腰を落として緩い下り勾配を強調するように、車も少し入れて撮っています。
T点:この写真は、同じ位置のCB1300SBを普通に立った状態でカメラを構えて撮っています。これが片峠の特色である、「片側フラット、ここは本当に峠か?」状態です。分かって頂けたでしょうか。
T点:これは振り返えって、A点方向を撮った画像ですが、普通にカーブしています。
鼓峠の四方山話
- 天正六年(1578)、明智光秀は、大山の金山を攻め落とした後、亀山に戻る途中の鼓峠で草山城主細見将監、八百里城主畑牛之丞らに待ち伏せされ敗走した。
- 鼓峠の横にある田圃から流れる西側の水は瀬戸内海へ、東側は日本海へと注ぐ全国的にも他に類のない田圃の中にある分水界となっている。
- 田圃は真中がくびれた鼓形で、両辺が川(皮)になっていることから「鼓田」と呼ばれる峠の名の由来となった。
- 片峠(かたとうげ)は、片坂(かたざか)とも呼ばれている。
鼓峠の位置図
- 【鼓峠へのツーリングルート】
≫ 兵庫県と京都府の国境に沿い峠を巡るバイクツーリング - 【都道府県別・峠の一覧表】
≫ 兵庫県の峠、一覧表
編集後記
峠を訪ねていると時たま登場する分水界は、ツーリングマップルなどの一般的な道路地図ではその状態が掴みにくいものですが、地形図を見るとその様が浮かび上がってきます。
馴染みの薄い地形図ですがオフロードバイクに乗っている方には、意外なダート道が発見できたりして大変役に立つ情報源かと思います。このブログには各峠の地形図のリンクを必ず付けていますので、等高線がひしめく世界も楽しんで下さい。