三春峠の名は、京都府福知山市三和町の「三」と兵庫県丹波市春日町の「春」を取り、三春峠と名付けられた。ツーリングマップルには、「峠付近は眺め良好」とコメントされている府県境の峠になる。
路線は兵庫県と京都府の府県道に認定されているが、バイクで実走してみると「腐険道」と言った方がふさわしい。三春峠の眺望を楽しむ。もはや、それ以外の目的で、ここを車両が通行する理由は見当たらない。この日も対向車両は、一台も無かった。
峠を目指し京都府側からの上り勾配をランディングしていると、コーナー出口で一頭の鹿と目が合った。しばらく睨み合いが続く。なぜ逃げないのだろうか。いつもと違う状況に戸惑う。すると、さらに二頭の鹿が後方から現れ、V字の陣形となった。なるほど、数的優位ということか。アクセルに手を掛けワイバンを咆哮させる。『ヴヮーン!』 彼らの陣形は、一気に崩れさった。
三春峠・調査NO.93
三春峠の周辺地図
- T点:三春峠
- A点:京都府福知山市三和町田ノ谷側
- B点:兵庫県丹波市春日町上三井庄側
三春峠 Pickup Photo
京都縦貫自動車道(京都丹波道路)を園部で下り、国道9号(山陰道)を福知山方面に向けてCB1300SBを走らせた。福知山市三和町辻で左折し兵庫県道・京都府道709号(中山綾部線)に経由すると、「ゆっくり走ろう三春街道」と刻まれた石柱が建っていた。
国道9号の途中には、全国歴史の道100選に選ばれている細野峠への徒歩経路を示す小さな道標が見えたが、レザーパンツにクシタニのレースブーツでは歩く気がせずスルーした。
府県道709号の沿道には「三春峠通行止」の看板が幾つも掛かっていたが、行ける所までと思い進むことにした。標高が上がるにつれ、時折り残雪が見られる。
三春峠が近づいてくると枝葉から雪解け水が滴るのか、路面はウエットな状態になる。路側部の苔生した緑の帯が美しい。バイクを徐行させ、注意しながら進む。
T点:三春峠に到着すると、府県境峠の証しとなる「兵庫県」「丹波市」と書かれた案内標識があった。残念ながら兵庫県側は、「全面通行止」の看板と簡易なゲートがあるが峠まで来れたことにホッとする。
T点:兵庫県側に廻り込むと案内標識には、「京都府」「福知山市」と表示されていた。道路の両脇に立つ案内標識を結んだ線が府県境ラインだ。
T点:三春峠の記念碑の碑文には、峠名の由来が刻まれている。この記念碑の横手辺りから若干の眺望があるが、ツーリングマップルのコメントにある「峠付近は眺め良好」とは、ほど遠い様子に戸惑う。
T点:ダメだ!眺望が納得できない。もしかしたら、何処かに見晴らしの良い場所でもあるのではないかと探していると、山中に通じる道らしきものがある。行くしかない。
道が消え単なる斜面の先を見上げると、稜線越しに青空が見える。登ることにした。昨晩磨いたばかりのレーシングブーツが泥土に埋まり、枯れ枝を踏みしめる音がバキ!バキ!と響く。
稜線の上に立つ。
”眺める”
山や道、住居の点在する様子から兵庫県丹波市春日町上三井庄を越えて、遠景に黒頭峰と夏栗山をたずさえる眺望のようだ。写真にも収めることができたので、通行止めの兵庫県側に未練を残しながら、再び京都側へと来た道を下る。
A点:谷間を抜けると、日も差し風も通る気持ちの良いヘアピン区間になる。このアングルは、当ブログに何度も登場する。これまでの一番のお気に入りのヘアピンカーブは、京都鞍馬の花脊峠。
A点:福知山市三和町側の山裾を通り抜ける、兵庫県道・京都府道709号(中山綾部線)が見える。
国道9号に戻る途中、田ノ谷浄水場の手前を右折し兵庫県の境まで進むと野瀬峠がある。事前に地形図で確認していたので、CB1300SBで越すことは無理だと思っていたが・・・。やはり無理そうだ。セローのために残しておくことにした。
三春峠の位置図
- 【三春峠へのツーリングルート】
≫ 兵庫県と京都府の国境に沿い峠を巡るバイクツーリング - 【都道府県別・峠の一覧表】
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≫ 京都府の峠、一覧表
編集後記
道路上で起こる野生動物の死亡事故を何と呼ぶか知っていますか?「ロードキル」と言います。平成14年には、35,933件(高速道路上のみ)が発生しており、一番多い被害動物はタヌキで全体の4割も占めています。
なぜ、タヌキが多いのか?その理由には、悲しい習性が影響しています。それは「タヌキ寝入り」。ヘッドライトの眩しさに、思わず立ちすくんでしまうようです。