試峠の周辺には、様々な言い伝えや怖い話がある。例えば、南に下った嵯峨鳥居本化野町にある念仏寺は、平安時代からの墓地として風葬で知られている。この寺は、写真を撮ることさえも危険だと言われている。
また、清滝トンネルは関西の有名な心霊スポットとして、この手の話には事欠かない。試峠も真下を向いているカーブミラーに自分の姿が・・・。そんな試峠の周辺も嵐山や嵯峨野に行くと、外国人観光客であふれ返っている。
この日も試峠へ至る愛宕神社の朱色の鳥居の前では、外国人の団体さんが記念撮影をしていた。「kawaii~♪」と言いながらシャッターを切っていた。この鳥居が神域と人間の俗界との結界の門だとは、彼らの知るところではない。
試峠・Pass Hunting NO.127
- 日付:
- 峠名:試峠(こころみとうげ)
- 路線:旧京都府道137号(清滝鳥居本線)
- 所在:京都府京都市右京区嵯峨清滝深谷町∧嵯峨鳥居本一華表町∧嵯峨鳥居本深谷町
- 座標:35.034136,135.661169
- 標高:186m、路面:オンロード
- レビュアー:峠ノ太郎(セロー250)
- おすすめ度: 3
試峠は京都の嵐山から嵯峨野を経て、愛宕山の麓の清滝へ至る峠。試坂とも言い愛宕山に登れるかどうか、まず試みる峠とされている。
試峠の地図
- PIN:試峠
- 1点:愛宕神社の鳥居
- 2点:清滝トンネル、清滝側
- 3点:嵐山高雄パークウェイ
- 4点:六丁峠
試峠 Pickup Photo
京都府道29号の桂川に架かる嵐山の渡月橋を渡り、嵯峨野の観光客の人混みに注意しながらトロトロと府道50号を137号の分岐点まで走る。
1点:「ハイ!チーズ」ではなく、「kawaii~♪」と言って写真を撮っている。交わしている言葉を聞いていると、ドイツからの団体旅行者のようだ。大阪は東南アジアからの旅行者が多く、京都はヨーロッパ系が多いことを実感する。
この朱色の鳥居は、愛宕山の参詣道のものになる。鳥居の裏には、平野屋という寿司屋があり、ここを右折して一方通行の府道137号へ入ると試峠と清滝トンネルに辿り着く。
1点:鳥居の分岐点を左折すると府道50号も薄暗い林間道になり、上り詰めると六丁峠に至る。
1点~2点:まずは、清滝トンネルを抜けてみた。このトンネルは心霊スポットとして有名だが、そんなことは全く信じていないので気にしない。ただ、壁に引っ付いて写真を撮っていたので、気味悪く思ったドライバーがいたかもしれない。
1点~2点:この清滝トンネルは、元々愛宕山鉄道(京阪電気鉄道と京都電燈の共同出資会社)のトンネルだった。当時は、清滝遊園地やスキー場、テント村、ホテルがあり賑わっていたらしいが、今は面影が全く無い。
2点:路線バスが、 ”ところてん”のように押し出てくる。幅が狭いので、交互通行のための信号がある。心霊スポット好きなら、「何も写らないよ!」と言われたこちらの峠もどうぞ。
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2点:清滝トンネルの左手には試峠への旧道があるが、車両も歩行者も通行止めになっていた。ここから愛宕山へは、愛宕表参道を約2時間歩くと到着する。愛宕裏参道はダート林道になっており、バイクでもサカサマ峠までは行くことができる。
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PIN:再度、トンネルをくぐり反対側からアプローチするが、当然こちら側もしっかりとバリケードがあり通行不能状態。
PIN:試峠の東手の道を進むと清滝不動院があり、その手前には三体のお地蔵さまがいらっしゃった。
PIN:お地蔵さまをよく見ると個性がバラバラなので、それぞれ異なる場所から集められたのではないかと思う。今日のツーリングの無事をお願いして、手を合わせた。
PIN:試峠はガードレールの下になる。ちょっとお邪魔する。
PIN:なるほど、切り通したと言うより、嵐山高雄パークウェイの橋げたのようだ。コンクリートの垂直擁壁に囲まれていて、昔の姿は想像すら出来ない。
PIN:これが知る人ぞ知る、真下を向いたカーブミラー。でも、ここは一方通行だから・・・。
PIN~2点:こちらは北方の清滝側の路面。まだまだ綺麗で十分に現役で使える。
PIN~1点:こちらは南側の路面。見通しは悪そうだ。
試峠の四方山話
古典落語「愛宕山」は、愛宕山など簡単に登れると大口をたたいた男が、お尻をおしてもらってようやく試峠を登り、まだ愛宕山には登ってすらいないことに仰天する話から始まっている。
昭和4年(1929)に愛宕山鉄道が敷設され、現清滝トンネルが完成すると、この峠を越えなくても清滝に行けるようになった。愛宕山鉄道平坦線は、現在の京福電鉄嵐山駅を起点とし、釈迦堂、鳥居本の停留所を経て、約10分で清滝に至った。
5両編成で定員は74人。昭和19年(1944)には、鉄供出のため撤去となったが、軌道跡は道路として整備され、トンネルもそのまま活用されている。
郷土愛宕研究会 設置看板より